ここはとある魔王

こんな夜更けに、森の中に迷っているのは誰だろう
それは私だ。夜になり減ってきたお腹をかかえている。

私 「お腹よ、なぜ顔を隠すのだ」
腹 「私には一軒のお店が見えないの。「ここはとあるレストラン」と看板が出ている・・・」
私 「あれは変な名前の店だ・・・」
店 「いらっしゃいませ。人気メニューはナポリタンでございます。真っ赤なトマトに、マッシュルームの入ったソースがご好評を頂いております」
腹 「私、私!きこえないの。店がぼくになにかいうよ。」
私 「落ち着きなさい、ナポリタンの注文を取っているだけだよ。」
店 「お腹さま、さあナポリタンができました。舌でここちよく味わい、のみこんで、消化なさってください。」
腹 「私、私!見えないの、テーブルの上にナポリタンが!」
私 「見えるよ。なんか変だ。しょっぱい。変にしょっぱい。頭が痛い。」
店 「すいません作り直します。食わなきゃ腹にたまらない。力づくでもお代は結構です!」
腹 「私、私、ナポリタンが来たよ。ナポリタンを食べたよ。今度は平気みたいだ!」

私はぎょっとして、店を出る。あえぐ腹を両腕で抱え、しばらくして気づいてしまった・・・
ここはとあるレストラン・・・人気メニューはナポリタン・・・