魔王イエス

こんな夜更けに、東京に車を走らせるのはだろう。
それは父と子だ。父はおびえる子をひしと抱きかかえている。

父   「息子よ、なぜ顔を隠すのだ」
子   「お父さんには又吉が見えないの。街宣車に乗って、甲高い声でわめいている・・・」
父   「あれは沖縄の恥だ・・・」
又吉 「かわいい坊や、社会状況が来るべき所まで来た!むちゃくちゃで、瀕死の社会状態になっている!」
子  「お父さん、お父さん!きこえないの。又吉がぼくになにかいうよ。」
父  「落ち着きなさい、むちゃくちゃなのはあいつだよ。」
又吉 「いい子だ、私と一緒に世界経済共同体党に入るべきである!私の妻たちがもてなす!父は腹を切って死ぬべきである!」
子 「お父さん、お父さん!見えないの、あの暗いところに又吉の奥さんが!」
父 「見えるよ。何が楽しくて付き合ってんだか」
又吉「愛しているよ、坊や。坊やはただ政党に入る者ではない!唯一神又吉イエスが、力づくでもつれてゆく者である!」
子 「おとうさん、おとうさん!又吉がぼくをつかまえる!又吉がぼくを無理やり入党させる!」

 父親はぎょっとして、車を全力で走らせた。あえぐ子供を両腕に抱え、やっとの思いで家に着いた・・・
 腕に抱えられた子はすでに詳しい事を広報で熟知していた。